作品紹介
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のステージでの活動に終止符を打つと決めた現メンバーが、“アディオス”世界ツアーを決行、ヴェンダース製作総指揮で最後の勇姿を収めた音楽ドキュメンタリーが完成した。監督は、『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』でアカデミー賞R長編ドキュメンタリー賞に、『津波そして桜』で同賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた、ルーシー・ウォーカー。その突出した才能が今最も注目されているドキュメンタリー作家だ。
前作でカットされた秘蔵映像も交えながら、カメラはメンバーたちの音楽的ルーツを、キューバ音楽の歴史とカルチャー、美しい自然と共に紹介する。また、苦労した子供の頃のエピソード、ミュージシャンとしての不遇時代から、大成功のあとの華々しい世界ツアーまでも追いかける。さらに、避けることのできない死にも迫り、彼らの中の幾人かが亡くなる直前まで音楽に全身全霊を捧げた姿を伝える。彼らの歩んできた人生がにじみ出し、一層深みを増した歌声と演奏を全身で受け止めるすべての観客は、このまま映画が終わらぬことを祈るだろう──。